ストーリーのメインのラインは悲劇でしかない仕掛けで、犯人が誰かも二転三転し、オチは読めませんでした。あの癖と、最後に容疑者を絞るときの『え?』と気付かされた瞬間は忘れられません。
ただ、黒幕の能力がチート過ぎるかなと。ミステリーだとこれ一本で好き放題出来ちゃうかなと。あとは救えない展開が起きた段階でもう後味良くするのは不可能。序盤の学園パートの平和さは消えました。
あとは、普通の一般層がやるにあたって、ラノベ臭い[ディソード]と【能力者】の展開を受け入れられたならお話は納得いくかなと。あとバッドエンド嫌いな人はやらない方が。
個別エンドに入って、ほぼバッドエンドと、ストーリー的には飛躍過ぎてイマイチなのもあり。
付け足したようなバッドはダメですね。二個ほど。
ただ、この人が能力者か、黒幕側だったのか、等々、普通エンド後の伏線回収がとても鮮やかで綿密で。
ただ、ちょっと辛いストーリー過ぎて。バッド連続はやめて欲しい。バッドは好きじゃないんです。
多分、ここらでプレイ挫折した人多そう。
ただ、ここまでで辞めて評価すると普通以下の採点になる気がします。
あと、シナリオの分量は本当凄い。だから辞める人はいても普通かなと。
白夜行に例えましたが、グリーンマイル(完全版のぶっといやつね)ぐらいあるかも知れません笑。もうゲームというよりビジュアルノベルなんだと思います。
しかし彼女のあのルートは回収が凄かった。ああいう展開とは。
そーくるかと。やはり先読みはなかなかさせてくれない。
妄想が能力に関わってくる部分。
そして嘘と真実について。主人公が序盤から真実を追い求め続けて事件に巻き込まれていくんです。
真実は正しくて、嘘はダメ。
部外者じゃダメだ、当事者でないと。みたいな二元論に対して、必ずもそうじゃないよ、というテーマを叩きつけられるイメージ。
そういう意味では知らない方が良いような辛い事実はあるし、嘘も、必要な嘘がある、という話。
知らなくて良いことはあるよなー、と考えさせられた。
あとはネット民や世論の気持ち悪さ。
主人公は若くて青い『情報強者だ。』と語る痛めの子ですが、当事者になる重さを感じさせてくれます。
ネット文化の掬い方と表現のうまさはここのソフト会社は射抜いてるなーと思います。
にしても、こちらも救いがない。
けど、それを受け入れるストーリーラインに救いはあってよかった。
にしても、伏線を掻い潜って、抜けた先が、悲劇とは。辛い中で救いを求めた結果があの内容となるのは本当凄いシナリオだなと思う。
でも、それしか救いがなかった訳で、そこは読んでる人は共感するだろうし、その過程を第三者として読んでた人は、この人がそれを味わっていたんだ、と回収終わったらだいぶハード目のパンチを喰らうと思います。
でも、シナリオとして僕は好きでした。
バッドエンドって、ただの盛り上がりに使われる場合は安易で不快になるのですが、ここまで綿密に紡がれて、作成者が腹括って作ったのが伝わると良いですよね。
とことんまでそっちに舵を切ってたのはメインの虐殺事件でわかることですし。
(ここのルートは最終的に救われるけど)
そして最後TRUEエンディングのルート。凄く納得のいくエンドだと思いました。
普通ルートエンドで妄想のケリを自分でつけた訳で。
ある意味『自分のせい』にケリを付けたと。
もう主人公は全てを受け入れた聖人のように。
最後は『彼女』の一人称でストーリーを進むのが上手いと思いました。プレイヤーは全て知った上で全てのやり取りを見る訳ですから。
僕は病院の会話シーンで泣かされました。
最後の選択は、勿論彼女が彼の望みを受け入れたからこその『嘘』なんだなと思いました。
そしてなんとも切ない。ここも泣きました。
でも、ストーリー上一番相手を想った動きで。
他の人たちも彼の嘘に付き合うのが、とても、優しい嘘だと思いました。
多分、サッドエンドだと思うんですが、ここまで綿密に組み込まれたもので、筋として納得が行くから凄いんだなと思いました。
何度も言いますが、僕はバッドエンドとか、悲しい終わりの映画は好きじゃないんすよね。
でも、ここまで組み込まれたら、納得です。
凄く深い愛情の話なんだと思いました。
異常な。
ただ、残忍すぎるけどね、事件。
そしてカオスチャイルド症候群の真相が本当に背筋凍りましたね。これはゲームのビジュアルノベルという媒体をうまく使ってると思いました。
小説でも可能と言えば可能ですが。
あー、そういうことかー、と。
ミスリードのうまさもすごいシナリオと思いました。
シュタインズゲート含む化学アドベンチャーシリーズのすごいところは1周目のエンドの段階で大分納得いく構成になってるんすよね。
大分ひっくり返されたので。
なのに周回後も裏切りの展開あるから凄い。
あとは、アニメ的な『意味不明に見えるキャラ付け』や『現実的にはあり得ないけどアニメだからスルーする人格な違和感』をあとで振り返っておかしいよな、としっかり回収させてるのも良いと思います。伏線と気づかないよなそれ。
文章が主人公の一人称だからこそ気づかないところをついてくる。それはシュタゲの時も。
あとは、声優さん達は本当に迫真でした。
主要キャストは全員。特に宮代と尾上の役の人たち(松岡禎丞さん、上坂すみれさん)
来栖乃々役のブリドカットセーラ恵美さんの感情の起伏の表し方を声であんだけ表現出来てるのは凄いし、ボイスでシナリオ読める部分としてより強く感情移入させてくれました。
あとは阿保剛さんの音楽が良い。
にしても、予想しながらやるタイプとしてはシナリオライターに騙され続けましたね。
うちの会社はシュタインズゲートだけじゃないぞ、というシナリオ側の熱意が見えました。
五人ものシナリオの作成者さんが束になって奇襲をかけてきてましたしね。
ただ、長さは相当。あと、トゥルーととあるエンドまでやらないと、長いなーやめるかー、で終わると思います。
人に勧められはしないので、物好きか、綿密なシナリオを、時間かけてやりたい人はやったら勉強になると思います。Amazonのレビューを僕は参考にしました。概ね高評価ですが、同意はします。
僕は良い綿密なシナリオ好きなのでやった甲斐はありました。
ただシュタインズゲートほど簡単に薦めるには重すぎる。
本当、くそったれなゲームでした。
主人公にとって。
にしても、鬱ゲーの類に入るとは思いますが、良く練り込まれ倒されたお話でした、すげえ悲しかったけど。
ここまで裏切れるシナリオ作れるのって、本当凄い。
驚かせないと、作る側としてダメですね。
毒にも薬にもならんもん作ってちゃ。