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どうも!6/17生まれふたご座A型の『カモメ』のブログです。 ハゲてます。サッカー大好きです! ●ツイッター、等リンクはプロフィール欄へ  はい!画像は10年前です。

すべての男は消耗品である 最終巻 村上龍著

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村上龍さんの有名なコラム集が最終巻になったとのことで読みました。

34年連載してたらしいですが、学生時代、バックナンバーから借りて99年以降は全部読んでるかと思います。ファンなので。

最近のコラムの大半は日本社会への愚痴と、昔は自分は海外にいた時にこう思っていた、という自分語りの形になりがちで、正直、舌鋒鋭く日本社会の問題点を熱く語り、熱量を持ってコラムを書いてた、と個人的に思えた頃に比べると、歳をとり、丸くなったんだなーという印象です。

 

ラストも淡々とした終わりで。

スマホやデジタルにエンタメ媒体が移行し、先にヒースレジャーの名演技について触れていた流れで、

サッカーの動画もYouTubeで見るとボールが見づらい、ヒースレジャーの複雑な素晴らしい演技は小さなスマホの画像からでもわかるのだろうか?、

でラストのコラムは締めくられている。

 

多分ここ数年でかなりメディアやエンタメや、世界経済の話も、アメリカ社会ならコラムで言及してたトランプの話題など、パラダイムシフトがいろんな分野で進んでいて、テレビメディアの天下は終わりつつあって、デジタルメディアがかなり台頭する世の中になって、60代も後半に差し掛かった村上龍さんは、正直、もう社会や、経済の問題点があまりに日本が噴出し過ぎていて、どれを指摘しようにも手のつけようがなく、その言及するのを諦めた、ある種の諦観を感じました。

 

それは当たり前で、60代後半で、YouTubeメディアが莫大な金を産んでいる事や、LINEが完全にメールに変わる通信手段に成り代わっているのに頑なにLINEに手を出せてないなど、常に新しい事には最低限目を向けていた龍氏が、完全にジジイとなり、年取ってから掘り下げるには時間がなさ過ぎて、もう日本経済も下火で上向きの兆しもねーし、オンラインメディアもよくわかんねーからどうでも良くなった、ということが浮き彫りになるラスト巻でした。

 

まあ俺の年代でもこの激変した感じの中で戸惑ってるのは事実なので、当たり前っちゃ当たり前の話なのかもしれません。

 

分からないことを分からないなりに調べて進んでる感じが村上龍氏のストロングさだったのに、興味がない、のでもういい、が、最終的に寄る年波には村上龍氏でも勝てないのか、と思わされました。

結局チャンピオンズリーグの話ししてるのに、出る話題はメッシのバルサ話というベタ話から、最終的には20年前に活躍してたジョルジュコスタ、ルイコスタの話を始めるという懐古主義になってしまうあたりに、アップデートを辞めてしまった姿なのかなーと悲しくなったのでした。昔は良かったは好きではない、という割にやたら昔は良かった話をし、自慢話をするジジイは嫌だ、という割にかなり自慢話をしてる、ギャグのような状態になっています。

 

 

 

いや、昔のコラムは本当示唆に富んでて面白かったのよ。

2000年代初期のコラムとかは是非読んでほしい。

マジで、射抜いてるんですよ、あの頃を。

この本読んで、村上龍氏の著書に行く人は皆無でしょう。

けど、半島を出でよ、や、希望の国エクソダスや、心はあなたのもとに、や、最後の家族、ラブアンドポップ、面白い本いっぱいあるけど、やはり村上龍氏はコラム本が良いのよ。

 

このままコラムがなくなり、生の村上氏の思考を感じ取る場所が無くなるのが残念でならない。

でもこの、客観的に見て、本当に日本はこうなってるんだけどね、まあ、俺は知らないけどね、皆で考えないと終わるよ、と突き放す感じこそが村上龍氏なので、これで良かったのかもね。

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