買ってから寝かせて読んでなかった[恋と嘘]最終巻読みました。
2巻にラストが分岐する、という新しい試み。
多分発売日に買ったのでカード付きでした。
僕はこの漫画とても面白いなと思っていて、この純愛ものとしての描き方の生々しさと綺麗さがとてつもなく好きで。人を好きになること、をド直球に表現してる漫画普段読まないので凄い響きました。
ちなみに12巻読んだら内容忘れてて笑、一巻前の11巻読み直して、ああ、そうだ、とんでもない内容だったんだわと思い出した。
Apple Musicで宇多田ヒカルのニューアルバムのBADモード、が配信されてたので聴きながら読んだら、悲しい音楽と話がマッチしてて、悲しくなりました。
凄い初巻から引っ張られた『なぜ両思いの二人が結ばれないように片方が動くのか』
の伏線を回収したのが11巻で。
うーん。凄いお話として面白かったんだんだけど、この展開だとどう考えても幸せが両者に訪れない。
片方は確実に。片方も心にひだが残ったまま。
でも、まあこういう終わりもまた良いのでしょう。一応の幸せが訪れましたが、なんかカタルシスを残すには分岐ではなく片方のエンド、しかも莉々奈エンド一本道の方が望ましかったのではないかなと思いました。
テキストアドベンチャーゲームならともかく、このやり方なら漫画という手法でやる理由がない。作者の思う最善のストーリーという決断、というよりは、ビターエンド二つ、といった終わりかなと(全員が幸せになったわけではないという意味で)。美咲編を見たい人は両思いの二人が本当に末永く幸せになる方向以外は見たくないと思うんですよね。
なら莉々奈編一本で深く刺して、美咲寄りの人からブーブー言われた方が自然だった気がします。
美咲エンドはお子さん産まれてとはいえ、先にバッドしか残ってないので。そこも含めてそこに至るまでの幸せをハッピーと取るのか。待ち受ける苦難をどうするのか、そこまで描かないと分岐としてお茶を濁した風に見えると思いました。
まあ子供は両方とも産まれてるけど。
美咲の自分を殺した決断を潰してる、という主人公の決断も、主人公が本当に相手を想っている、というストーリーテリングからすると綺麗じゃないなと思いました。
けど、莉々奈編もじゃあスッキリかというとビターなんすよね。
じゃあ二つともスッキリする訳ないトリガーが11巻に仕掛けてある訳だから、まだ美咲の決断を尊重した莉々奈編の方がお話の筋として通ってると思ってるからそれのみで良いじゃん、と。
恋愛ものでどっちを選んだか、が作家さんの色、とか好みがダイレクトで出るのに、作者さんが迷ってるのか、出版社は分岐させた方が二種類分売れますよ、と踏んだのか、どっちにせよ、この二冊に分けたという意味でも全部ビターにしてしまったなあ、と思いました。
でもお話としては好きでしたね。
悲しいけど。全員ハッピーにならないお話で最初から進んでた訳だから(11巻が仕掛けられてる以上)このオチは仕方ない。
全巻買いましたしね。
面白いなー、と思っただけに最後は作者さんの描きたいものが二つだったとしても、どちらかを決断することが主人公のネジが苦渋で選んだ正解(あってる間違ってるは置いておいて)に寄り添っていることになったと思うので、そうしてほしかったかなと思いました。人生に分岐ルートを両方は選べない。必ず片方しか選べない。一本、道を選択するから味わい深いんだし。両方選べるなんてゲームみたいで、こんなロマンティックな話なのに勿体無いと思いました。(ゲームフォーマットは分岐を選べるから面白いのであって。漫画作品で分岐やると作者本人は本当はどっちを選びたかったのかがわからないのでここまでこの話に付き合って読者に委ねてしまうのはちょっとなと。)
まあ二つとも見たかったので良かったー、の人もいると思うけどね。
ただこういうエンドって今っぽいなと思う。炎上対策なのかも。
またこの作者さんの漫画出たら買おうと思いました。
なんでこんなやや辛く書いてるかと言うと、面白かったからです。全巻購入してるのでそれは保証します。
良い作品なのは間違い無いので買ってください。
先生、お疲れ様でした。