とりあえずクリアしようと思ってたら、メイン以外にサブストーリーやバディのストーリーも豊富にあって、それも解いていたら、全ストーリーコンプリートしていました。
面白い。シナリオが。多分サブストーリーと交互にクリアが一番楽しめるかと。
村田雄介さんの画もアメコミ風の画風なので、すごくあっていて、声優陣も本当素晴らしい。
ルーク役、木村良平さんは常にゲームで正義感溢れる若者役見る機会多いですけど、(テイルズオブゼスティリアのスレイ役とか、幻影異聞録#feの蒼井樹役)本当この手の好青年主人公役はハマってる。
そして、アーロン:近藤隆さん、モクマ:森川智之さん、チェズレイ:浪川大輔さん のメインキャラ4名のボイスが素晴らしすぎて。テキストのみでも良い台本だと思うけど、ボイスは声優さんの凄みを感じます。他、全員他のキャストも明記したいぐらい完璧。スイのとかシキとかも。
キャラが4者4様で個性的で、全員に愛着が持てるようになると思います。バディの行動に影響を受けて皆の考えが徐々に徐々に変わっていく感じも自然で。『ヒーロー』というテーマもベタベタですけど、主人公のキャラを見てたらとても納得のいくヒーロー像で、懐かしい感じがむしろしました。
日本のテキストアドベンチャーの中でも万人にお勧めできる、敷居が広めに設定されてる最高に心温まるお話でした。
展開も漫画的なので、子供でも遊べるし、潜入ミッションも敷居は低く、謎解きとしても面白いし(微妙に後半難易度がムズめに作られてる。)、アドベンチャーパートもクイズみたいなものなんですけど、難しすぎず、面倒な人は攻略サイト見ながらやれば良いので。
クリア後にサイト見て、トゥルー隠しエンドとストーリーが描かれてるのも知り、やってみたらそこも素晴らしく。
Switch専売タイトルなんですけど、ニンテンドーipの作品はどれもまず子供が遊べる内容にカスタムされてて、そこが良いなと思いました。多分プレステ発売だったら、もっとコアに、内容も大人向けに変えられてたと思うんですけど、多分このぐらいの方が間口が広くて万人が遊べるだろうなと。
デスノートがヤングジャンプ連載だったらもっとピカレスクロマン風に面白くなったはずだ、みたいなネットの意見を見たことがあって(多分もっと残酷要素、性的要素も入ってたらより駆け引きが大人向けで面白くなったという意見)、確かにその方がより通に評価されてただろうけど、ミリオンレベルのヒットはジャンプを読む広い層に向けてなかったらなってなかったとは思うので。子供層に投げるのはそう言う意味のあることだと思う。
逆に子供っぽかったり、漫画展開すぎる点もあるんですけど、でもデジタルコミックだと思えば違和感ないかなと、軸のシナリオが良いので。
製作のKOEIと任天堂の方のインタビュー読んだんですけど、バディミッションBONDのメインシナリオライター杉原希さんの話が面白かったです。
検索しても名前出てこなくて(ゲームシナリオでも聞いたことない名前だったので)、どうやらKOEIの乙女ゲー(女性用恋愛ゲーム)のライターさんらしく、シナリオの設定が細かい。ある登場人物の離婚した元妻(ゲームには出てこない)の設定まで細かく喋ってたので、設定資料がえげつない量あるみたいでした。
シナリオがブレないように、シナリオの大部分は大人数で決めたものの、書く道路整備や大筋は一人のライターに書かせようと任せたらしいですが、本当に整合性が素晴らしい台本なんですよね。ブレがなく『なんでここでこの登場人物はこの行動するんだろう』というゲームシナリオで時々みられるシナリオバグが無く、すごく納得のいくシナリオで、なぜこの登場人物がこの行動をしたかは、メインシナリオだけでもわかるけど、サブストーリーでもそこの部分をとてもさりげなく補足的なお話を入れているので過不足がない。モブキャラですら、とても個性的でモブしていない。ファントムの正体の流れもこちら的に『そうくるかー』と思いました。
モクマの師匠の刀をアーロンが取っとくエピソードとか、全体的にキャラの行動が『粋』なんですよね。乙女ゲーのシナリオの方だけあって、男性のキャラの行動に粋さと色気があるんすよね、全員。押し付けがましくない。サブストーリー全回収するとラストがエピローグ的なエピソードがバディの組み合わせ分あるんですけど、そこも、本編不明だった部分の回収をしてたりするので、本当良い台本。
なんでこのコードネームなのか、なぜファントムはあそこまで『無』なのか、なんで主役らBONDメンバーは気遣いが優しいのか、全ての登場人物の動きがとても納得のいくおしつけがましくないのに説明がなされてる内容なのは、設定を詰めに詰めまくる性格のライターさんだからここまで良い整合性のある台本になってるんだなーと。モヤモヤする点なくほぼ全て回収してくれてます、それもさりげなく。
他の作品とかの、伏線回収のために序盤突発的にキャラが変な動きをするとかのシナリオとかに比べると、とてもストレスが少なく後々回収してくれたりするので、その部分も優しいなと。(突発的に起伏を作るシナリオもあとでサプライズとして面白い時もあるので良し悪しある)
キャラの行動のさりげなさ、主張のしすぎなさがとても上品で、主人公達もなんかモクマみたいなおじさんがいても、ガサツそうなアーロンにしても、そこまで臭い匂いのしない感じというか笑、清潔な感じなのは乙女ゲー出身の方だからなのかなと思いました。好感が全員に持てるというか。そして悪人は本当に悪人として素晴らしくキャラの立った悪人で。人を謀るのが癖なんだ、は本当印象に残るセリフ。
任天堂さんがそこらへんの(シナリオ的にいかにストレスなく遊んでいただくか)部分を凄くケアしてた話も載っていて、面白かったです。読み手が寄り添えない展開だと、添削も細かかったそうです。
キャラの造形も村田雄介さんに任天堂さんから注文として、シルエットの段階で主要メンバーがわかるようなキャラ設定にしてほしい、と『マリオ、ルイージ、ワリオ、ワルイージ』の例で説明してくださったらしく、モクマ、チェズレイのカラーリングはもしかしたらワリオ、ワルイージのイメージカラーが意識に残ってたからかも、みたいな話をしてました笑。
村田さんはルークの造形も、最初の発注からツーブロックに髪型を変えたり(幼少期ではっきり彼とわかる髪型に変えた方がとの考えで)、アーロンのビリビリの服も村田雄介先生のキャラ付けの主張であの形になったらしいです(任天堂さんからは最初普通の白シャツのイメージでとのことだったそうです)。ヒット漫画家さんなので、読者に印象を残すところは意見も出されてたらしいので、遊んだ感想もとても個性的なデザインのキャラ達で、本当さすが村田先生だなと思いました。
あとは開発前段階だとイアンとシキが主役側操作メインキャラの予定だった話も。テキストの長さから切ったらしいけど、本編で扱いが良いのはそのためだったのかと。6名メインだとテキスト膨大でワチャワチャするだろうしね。
任天堂✖️KOEIのタッグで新規ipを作りたくてこのゲーム製作になったらしいですが、最初は乙女ゲーで作る予定だったらしいですが新しいことをしたくてテキストアドベンチャーにバディもの、警察はいても推理メインでなく人間関係ものを、という考えに至り、傑作になって凄いなーと。売上が良くなかったらしいですが、乙女ゲー要素は確かに残ってたので、上手く買う層と噛み合ってなかったのかも。評判は良いので勿体無い。インタビューは、KOEI襟川芽衣取締役(シブサワコウ氏の娘さん)も出てて、気合い入れて作られてたんだなーと。出来上がるまで5年、任天堂さんと暗礁に乗り上げる時もありながら作ったそうです。
和風の架空の島が舞台なんですけど、忍者城の城内と忍者のCGとかが本当細かく綺麗で、さすが戦国無双のKOEIさんだなと思いました。
任天堂さんはアトラスさんとタッグを組んだ幻影異聞録#feもとても面白いRPGになってたので(売上はこれまた悪かったらしいですけど、芸能界✖️ファイアーエムブレムの世界観のファンタジー、の新しい被ってない設定の面白いRPGで。)任天堂ハズレないなーと。
最後トゥルーでしんみりジーンとさせるのも良かったです。ファントムの人間性の欠けたところを救うような補足したストーリーまで用意して、最終的に全部埋め合わせたのは凄い。
続編もありそうな作りになってたので、新作は絶対フルプライスパッケージ版で買おうと思いました。トライアルで遊ばせてくれた任天堂さんに感謝です。
また今ならセール中なので是非。時間あるときじっくりやって下さい。面白い漫画読む感覚で楽しめます。
お勧めです。